フリーターが国民年金やiDeCo(イデコ)へ加入するメリットを紹介します

節約

 

令和2年度の国民年金保険料は月額16540円である。仮に今の国民年金保険料(16540円)のままで40年間支払ったとすると総額で約800万円になる。国民年金(老齢基礎年金)の平均支給額は月5.56万円となっており、1年で66.74万円になる。この場合でも12年程度、65歳から77歳までで元が取れる計算になる。

また、国民年金保険料は所得控除も受けられる。つまり、国民年金保険料は支払った分だけ、税金を減らせる。年収が多い人ほど、控除の割合は高くなる。税金控除分を考慮すれば、実質的に支払っている年金は納付額よりも少ないのだ。仮に20%程度の控除の割合とすれば、総額640万円の支払になるため、10年弱、75歳までで元が取れる計算になる。

 

もちろん、別の制度に切り替えるために、廃止される可能性は否定しない。ただ、悪いイメージだけが先行し、免除の手続きもせず、年金の支払をしていないのは正直損の方が大きい。平均寿命が伸びている現状を考えれば、現行の制度が続く限り、保険料は払い続けた方がお得だろう。

 

金銭的な余裕のあるフリーターは国民年金保険料を払うことでイデコ(iDeCo)への加入もできる。世間に流されず、現実的な部分を見れる人なら、年金はフリーターこそ受けれるメリットの多い制度だと理解できるはずだ。

 

この記事では

▶ フリーターこそ国民年金を積極的に利用すべき理由

として支払総額と受給金額の比較、低所得者が利用すべき免除を含めて紹介し、貯金する余裕がある人には

▶ イデコ(iDeCo)のメリットとデメリット

についても紹介していきたいと思う。

 

ちなみに、フリーターでも「厚生年金保険」へ加入できる。

中年フリーターでも楽しく生活していく方法
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厚生年金は半分を会社側が負担してくれる上、年金受給金額も高くなる。したがって、厚生年金への加入要件を満たすフリーターなら、こちらへの加入を希望すべきだ。

 

フリーターこそ国民年金を積極的に利用すべき理由

フリーターこそ国民年金を積極的に利用すべき理由

 

国民年金へ加入すべき理由は義務だからという理由の他に、得をする可能性が大きいからである。 支払額ともらえる額の比で言うと、会社員などが加入する厚生年金よりも高い割合になる。

また、国民年金保険料が高くて払えない人向けに免除制度もある。

老後の生活費としては十分ではないものの、現状、貯金の意味合いで言っても加入するメリットの大きい制度である。

 

国民年金保険料と受給金額

国民年金保険料と受給金額

 

年金は原則として20歳から60歳まで40年間支払う。令和2年度(令和2年4月から令和3年3月まで)の国民年金保険料は月額16540円である(国民年金の保険料はいくらですか。|日本年金機構より)。

今年から年金をもらっている人、65歳の人は昭和28年生まれになる。この人の年金支払が始まる昭和48年の国民年金保険料はわずか月額550円だった。

 

昭和36年4月~昭和48年12月までの保険料
昭和36年4月~昭和48年12月までの保険料(nenkin.go.jpより)

 

今65歳の人は最初の10年間は月額6000円以下、20年間は1万円以下だったため、総額で言うと400万円も支払ってないだろう。国民年金(老齢基礎年金)の平均支給額は月5.56万円となっており、1年で66.74万円になる。つまり、支払額は6年程度で戻ってくる計算になるはずだ。

仮に今の国民年金保険料(16540円)のままで40年間支払ったとすると総額で約800万円になる。この場合でも12年程度、65歳から77歳までで元が取れる計算になる。

 

また、国民年金保険料は所得控除も受けられる。つまり、国民年金保険料は支払った分だけ、税金を減らせる。年収が多い人ほど、控除の割合は高くなる。税金控除分を考慮すれば、実質的に支払っている年金は納付額よりも少ないのだ。仮に20%程度の控除の割合とすれば、総額640万円の支払になるため、10年弱、75歳までで元が取れる計算になる。

今後も平均寿命が伸びている現状を考えれば、現行の制度が続く限り、保険料は払い続けた方がお得だろう。

 

ちなみに、国民年金には前もって納める「前納」による割引もある。クレジットカードによる国民年金保険料の支払ではキャッシュバックも受けられる。

クレジットカードもしくはデビットカードによる支払へ変更すべき理由について詳しくは下記記事を参考に。

国民年金保険料はクレジットカード(もしくはデビットカード)で支払うべき理由
国民年金保険料の支払方法には1.口座振替(銀行口座からの引き落とし)2.納付書による支払(コンビニなどでも支払可)3.クレジットカード(もしくはデビットカード)による支払がある。この中でもっともお得なのはクレジットカード(もしくはデビットカ

 

低所得者が利用すべき免除制度

フリーターの中には毎月の国民年金保険料(2020年10月現在、月額16540円)が大きな負担になる人もいるだろう。低額所得者になればなるほど、税金や国民健康保険料よりも国民年金保険料の負担が大きくなる。しかし、国民年金には免除制度がある。

免除制度は収入の減少や失業等により国民年金保険料を納めることが経済的に難しいときに利用できる制度である。

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html

国民年金の免除申請は各区市町村役所の国民年金担当窓口で行える。上記ページを読んで理解できない場合は直接近くの国民年金担当窓口へ行った方が早いかもしれない。

 

免除には4分の1、半額、4分の3、全額がある。全額免除した場合でも、全額納付した場合の2分の1の額を受給できる。4分の1は8分の7、半額は8分の6、4分の3は8分の5の額を受給できる。免除の申請をしない、つまり、「未納」になると受給金額0になる。

金銭的な面で負担が大きいという理由で国民年金保険料を利用したくないという人は免除制度を利用すれば良いだけなのだ。金銭的な余裕がないから支払っていないという人も、免除手続きもせずにいる選択肢がもっとも損をする。

 

イデコ(iDeCo)のメリットとデメリット

貯金よりも老後の蓄えとして有益なイデコ(iDeCo)

 

個人型確定拠出年金(イデコ・iDeCo)は「私的」年金制度である。掛金の額と投資先を自分で決め、掛金に対する控除や税制面での優遇を受けられる。国民年金保険料を支払っている人はこのイデコへの加入もできる。ただし、未納はもちろん、金銭的な余裕がなく、免除制度を利用している人も加入はできない。

 

フリーターにも、毎月貯金を積み上げている金銭的に余裕のある人はいるだろう。こうした余裕のある人は、現金で貯める以上に利用価値の高いイデコ(iDeCo)の検討をすべきだ。

 

イデコ(iDeCo)のメリットは

1.国民年金保険料と同様に所得控除が受けられる
2.受取時に公的年金等控除が受けられる
3.運用利益が非課税
4.合法的な財産隠しに使える

以上の4点が主にあげられる。

 

デメリットとしては

1.60歳未満は原則として掛金の受け取りができない

という点のみである。

銀行口座へ貯金を貯めていけばいつでもお金の引き出しができる。しかし、イデコは60歳未満だと原則として掛金の受け取りができない。受け取れるのは加入者が亡くなった場合に、遺族が一時金で受け取ったり、法で定められた障がいの状態になった場合などがある。

貯金も無い状態で無理にイデコの掛け金を増やすのはおすすめできない。ただ、毎月の掛け金は5000円からでも良いので、少しでも余裕があるなら早いうちに少額(5000円)から始めるべきだ。

 

上であげたイデコ(iDeCo)の4つのメリットについては、下記でそれぞれ詳しく紹介する。

 

国民年金保険料と同様に所得控除が受けられる

イデコで積み立てた掛金は全額所得控除が受けられる。毎月5000円積み立てるなら、年6万円分、収入を低くできる。収入が低くなれば当然、翌年の所得税、住民税が安くなる。すでに所得税を払っている人は確定申告後に還付を受けられる。

 

収入を現金のまま貯金すれば、その分には税金がかかってしまう。しかし、イデコの掛金に変えれば毎年払うべき税金を減らせるのだ。利用しなければ損だろう。

 

受取時に公的年金等控除が受けられる

掛金は全額所得控除が受けられる上、受取時にも控除を受けられる。

イデコで積み立てた掛金は60歳から70歳の間に「一時金」「年金」「一時金と年金」のいずれかの方法で受け取れる。これらに対しても所得とみなされ全額に課税されるわけではなく、控除を受けられる。

たとえば、イデコの掛金を一括で受け取る「一時金受け取り」を選んだ場合、「退職所得」に区分され、退職所得控除を受けられる。退職所得控除の場合、1年あたり40万円の控除が受けられる。イデコへの加入期間が20年以上になると、21年目からは控除の額が70万円になる。30年イデコへ加入していたとすると、退職所得控除は「40万円✕20年+70万円✕10年」で「1500万円」となる。つまり、1500万円までは税金がかからない。1500万円以上積み立ていた場合も、2分の1にした上で税金が課せられる。

退職所得控除という名前の通り、退職金を受け取っていれば、イデコと一緒にして計算される。フリーターを続けていた場合はイデコの受け取りだけになるだろう。

加入年数によって控除の額は増えるため、少額(5000円)からでも早いうちに始めるべきだ。

 

イデコ口座は証券会社で申し込みができる。手数料の安さや扱っている金融商品から判断すると、楽天証券がおすすめである。

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運用利益が非課税

イデコでは毎月払う掛金の投資先を選べる。

楽天証券が扱うイデコの提供商品
楽天証券が扱うイデコの提供商品。楽天証券では人気投資信託である「楽天バンガードファンド」もイデコで購入できる。

 

国内外の株式や債権、REIT、元本確保型の定期預金、コモディティも投資先として選べる。コモディティは商品先物市場で取引されているエネルギー(原油やガソリンなど)、貴金属(金やプラチナなど)、穀物(トウモロコシや大豆など)などを含んでいる。

これら金融商品への投資で利益が生じても、その利益分は非課税となる。

 

イデコで投資した商品の構成比と評価損益率
イデコで投資した商品の構成比と評価損益率(楽天証券のイデコ口座)。楽天証券ではネット上で掛金配分の変更ができる。

 

通常の株式や投資信託、為替では利益に対して所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%の合計20.315%が課税されている。

イデコはいくら利益が積み上がっていっても、その分に税金はかからない(=0%)。

 

合法的な財産隠しに使える

イデコが合法的な財産隠しの手段と言われるゆえんは60歳未満では原則受け取りができないのと同様に、60歳以上にならないと取られることも無い財産だからである。たとえば、自己破産した場合でも、積み立てた掛金は取られない。また、イデコの有無や掛金総額で生活保護が受けれるかどうかだったり、受給額が減ることもない。財産として計算されないからだ。健康上に問題がなく働けるなら、イデコで積み立てながらリスクのある挑戦を60歳まで続けられるだろう。

 

確かに、離婚時などは、確定拠出年金の積み立て金も資産として換算した上で慰謝料などが請求されることはある。しかし、この場合もイデコ以外に取られる資産がなければ、回収されることはない。

 

このように国民年金制度の加入者は支払った額の金額以上を受け取れるだけでなく、イデコといった貯金以上にメリットのある制度の利用ができる。自由な時間を作り、不安定でも挑戦し続けたいフリーターにこそ、フルに利用すべき制度と言えるだろう。

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