国民年金保険料の支払方法には
1.口座振替(銀行口座からの引き落とし)
2.納付書による支払(コンビニなどでも支払可)
3.クレジットカード(もしくはデビットカード)による支払
がある。
この中でもっともお得なのはクレジットカード(もしくはデビットカード)による納付である。確かに、納付金額は口座振替の方が安くなっている。しかし、クレジットカード払いで得られる還元を考慮すれば、クレジットカードの方が金銭的にお得になる。
国民年金は1年で20万円程度になる。少しでもお得に支払いたいなら、クレジットカードもしくはデビットカードで支払うべきだ。
この記事では
▶ 国民年金保険料をもっともお得に支払う方法
についてプリペイドカードの「Kyash」や電子マネーの「nanaco」「WAON」といったお得とされている決済方法を含めて紹介するとともに
▶ 前納の利用方法
▶ 国民年金保険料の支払における注意点
まで詳しく述べていきたいと思う。
国民年金保険料をもっともお得に支払う方法
国民年金保険料は「口座振替」「納付書」「クレジットカード」による支払ができる。「口座振替」「クレジットカード」による支払は事前に申し込みが必要になる。「納付書」はコンビニなどでの支払ができる。コンビニでは現金、電子マネーで納付書による支払ができる。「納付書」による支払ではクレジットカードを使えない。
口座振替では1ヶ月早い当月末振替(早割)により50円の割引を受けられる。当月末振替(早割)は現金とクレジットカード払いでは利用できない。また、「口座振替」「納付書」「クレジットカード」いずれの支払方法でも6ヶ月、1年、2年の前納が利用できる。
国民年金保険料は毎年上がっており、2020年の国民年金保険料は1万6510円になる。口座振替、納付書による支払、クレジットカード払いで2020年9月以降に6ヶ月、1年、2年の前納をした場合、下記のような料金になる。
2年前納 | 1年前納 | 6カ月前納 | |
---|---|---|---|
口座振替 | 381,960円 (15,840円割引) | 194,320円 (4,160円割引) | 98,110円 (1,130円割引) |
納付書による支払 | 383,210円 (14,590円割引) | 194,960円 (3,520円割引) | 98,430円 (810円割引) |
クレジットカード納付 (デビットカード含む) | 383,210円 (14,590円割引) | 194,960円 (3,520円割引) | 98,430円 (810円割引) |
2020年の納付額(国民年金保険料に関する手続き|日本年金機構より)
上記のように口座振替がもっとも金額は安くなる。しかし、クレジットカード払いなら、カード会社のポイントも付く。1%還元のクレジットカードなら、2年納付で3832ポイントが付く。2年前納の実質的な割引額は
14590円+3832=18422円
となり、口座振替(15840円)よりも約2600円お得になる。
1%還元を受けれるクレジットカードでの支払は、1ヶ月ずつの継続的な支払、6ヶ月、1年、2年前納いずれでももっともお得な支払方法となる。
デビットカードによる支払も可能である。ただし、一部のデビットカードでは対応していない(楽天銀行デビットカードでは支払いができる)。楽天銀行デビットカードは審査無しでも作成できる。したがって、クレジットカードの審査に通らない人でも作成できる。

楽天銀行以外で、1%以上の還元を受けれるデビットカードを知りたい人は下記記事を参考に。

Kyashによる支払
クレジットカードおよびデビットカードが利用できれば、多くのケースでKyashによる支払もできる。Kyashによる支払を通せば2%還元以上も受けられる。

しかし、Kyashにも利用限度額や入金、還元額の制限がある。
<Kyash Card>
– 1回あたりの決済限度額 30万円
– 1ヶ月あたりの決済限度額 100万円– 1回あたりの入金申請は30万円が上限です
– 24時間以内の入金申請は30万円が上限です
– 入金申請から24時間経過後、再度入金申請ができます– 月あたりの還元対象決済上限は 12万円(クレジットカードによる決済では最大で500ポイント)
kyash.coより
support.kyash.coより
決済限度額がもっとも大きい「Kyash Card」でも1回30万円までとなっている。つまり、2年前納が不可となる。また、月あたりの還元対象決済上限は12万円であり、クレジットカード(デビットカード)での決済では500ポイントが付与上限となる。
「Kyash Card Lite」および「Kyash Card Virtual」は更に利用限度額が少ないため1年、2年の前納には利用できない。
2年前納と1年前納では割引額で8000円弱の差がある。「Kyash Card」で支払うために1年前納までに制限されてしまうとお得感が無くなってしまう。Kyash Cardよりも2年前納が利用できるクレジットカードもしくはデビットカードで決済した方が良いだろう。
電子マネーによるコンビニでの納付
コンビニでの納付書による支払は30万円以下になっている。納付書だと国民年金保険料に限らず、税金も30万円以上は金融機関での支払いになる。割引額の高い2年前納はコンビニで支払えない。コンビニで利用できる電子マネー決済はこの点でクレジットカード(デビットカード)よりも劣っている。ただし、チャージによる還元を受けれるため、現金よりはお得になる。
下記では国民年金保険料の
①nanacoによる納付
②WAONによる納付
について詳しく紹介していく。
nanacoによる納付
税金や公共料金を納付書で支払う場合もnanacoが使える。nanacoではセブンカードプラスなどのクレジットカードでチャージでき、チャージするとクレジットカードのポイントを貯められる(nanacoによる支払ではポイントが付与されない)。nanacoのクレジットチャージは200円につき1nanacoポイントが貯まる。還元率で言うと、0.5%還元になる。したがって、nanacoでの税金、公共料金支払は間接的にnanacoを貯める手段にできる。
ただ、国民年金保険料の場合、nanacoでの支払は1ヶ月分、6ヶ月分の支払しかできない。また、nanacoへは現金で4.9万円、クレジットカードで5万円までしかチャージできない。6ヶ月分の前納でも、センター預かり分を2回チャージする必要がある。レジが混んでいる時は利用しづらいだろう。
くわえて、nanacoの利用できるコンビニはセブンイレブンに限られている。
nanacoによる納付まとめ
・チャージによる還元で0.5%得られる(クレジットカード(デビットカード)決済よりも還元率が低い)
・割引額の大きい1年前納、2年前納が利用できない
・現金で4.9万円、クレジットカードで5万円までしかチャージできないため、6カ月分を前納で払う場合も、2回以上のチャージが必要になる
・nanacoの利用できるコンビニはセブンイレブンに限られている
WAONによる納付
nanacoと同様に、税金や公共料金を納付書で支払う場合もWAONが利用できる。WAON一体型のイオン系クレジットカードでチャージすると200円につき1 WAONポイントが貯まる。還元率で言うと、0.5%還元になる。利用限度額も5万円とnanacoの性質とほとんど違いはない。ただ、5万円以上の6ヶ月前納、1年前納、2年前納をしたい場合、5万円分をWAONで支払い、それ以上の不足分は現金で支払わなければならない。つまり、WAONによる納付では最大で5万円分に0.5%還元となる(250WAONポイントの還元)。
WAONへのチャージがデビットカード(イオン銀行キャッシュ+デビット)で行える点で、クレジットカードを作成できない人、イオン銀行利用者にはnanacoよりも使いやすいだろう。
WAONのコンビニ払いに対応しているのはミニストップだけでになる(2020年12月現在)。セブンイレブンよりも店舗数が少ないため、ミニストップまで訪れるのも少々面倒かもしれない。
WAONによる納付まとめ
・チャージによる還元で0.5%得られる。ただし、最大で5万円分に0.5%還元(250WAONポイントの還元)までしか還元を受けれない
・WAONのコンビニ払いに対応しているのは店舗数が少ないミニストップだけ
前納の利用方法
国民年金保険料の納付書は確定申告で記載した住所へ毎年届く。納付書による納付ではコンビニなどで支払う現金(もしくは電子マネー)納付のみである。1ヶ月分の納付書および6ヶ月、1年分の前納納付書しか同封されていない。
①納付書による2年前納
および
②口座振替(銀行口座からの引き落とし)
③クレジットカードによる支払
を希望する場合、年金事務所へ出向いて申込用紙を提出するか、年金事務所に電話して申込用紙に記載して郵送しなければならない。
全国の年金事務所
一度申し込みをすれば、翌年からは勝手に同じ手続きで進めてくれる。割引を受けるため、早めに手続を行うべきだ。
クレジットカード(デビットカード)による国民年金保険料の支払における注意点
クレジットカードによる国民年金保険料の支払で気をつけなければならないのは請求時に
・ショッピング利用可能枠が残っているか?
という点だろう。2年分の支払では40万円弱になるため、請求がかかる前に一度利用可能額の確認はした方が良い。
デビットカードによる支払では
・引き落とし口座に前納分の金額があるか?
・利用限度額が前納額以上になっているか?
以上の2点に気をつけなければならない。
特に、後者の利用限度額はもう一度確認すべきだ。デビットカードでは不正利用に対する補償に制限があるため、初期には1回(1日)の限度額が低く設定されている。この1回(1日)の利用限度額が前納額以下では口座にお金があっても支払ができなくなる。
クレジットカードおよびデビットカードで何らかの理由により支払ができないと、前納の申し込みをしていても、その月は納付書による納付をしなければならない。翌月以降は1ヶ月ごとのクレジットカードによる支払へ自動的に切り替わる。1年、2年前納であれば翌年、6ヶ月納付であれば6ヶ月後に再び、指定した前納額でクレジットカードによる支払がなされる。
期限までの支払方法として、納付書による支払しかないなら、nanacoやWAONも選択肢に入れても良いだろう。ただ、割引額および還元率と自動的に行ってくれる支払の利便性で見ると、クレジットカード、デビットカードによる支払がもっともおすすめである。クレジットカードの審査に通らない人でも、楽天銀行デビットカードを用意しておけば1%還元は得られる。

1ヶ月ずつの支払でもクレジットカードもしくはデビットカードの方がお得である。納付書による支払からは早めに切り替えるべきだ。