自己都合による休職とは、労働ができる状態であるにもかかわらず、自分の意思で会社を長期で休むケースを言う。自己都合により長期で会社を休みたい場合、国や行政などからの金銭的な補償は無い。ただ、会社が独自にその補償を設けている場合はある。留学のための休職では、留学を推奨している会社などで補助金を出してくれる。
業務または通勤が原因となったケガや病気では休業(補償)給付、業務外のケガや病気で休職した際には傷病手当金を受けられる。こうした病気には精神的なものも含まれる。したがって、精神的な疲れを感じたり、精神疾患が疑われる場合の休職では、精神科や精神神経科での受診から検討しよう。これらを理由として休職する場合は休業(補償)給付の支給も受けられる。
近年の日本では若手の人材不足と急速に進む企業のホワイト化によって、長期間休める休職制度の見直しも始まっている。当然、働く側、つまり会社員側にとってプラスになるような見直しである。休職制度に興味のある人は会社の就業規則に休職制度の規定があるかの確認からしてみよう。
この記事では
▶ 自己都合で休職する前に知っておくべきこと
▶ 精神的な疲れから休職を考える場合に行うべきこと
から
▶ 退職よりも休職を優先すべき理由
まで休職するまでの流れを中心に詳しく述べていきたいと思う。
自己都合で休職する前に知っておくべきこと
休職を検討する際には、まず会社の就業規則に休職制度の規定があるか確認しよう。就業規則から規定を探すのが面倒な場合、上司など仕事で直接関わっている人に休職の意思を伝えた上で、人事など担当部署に休職の相談すべきだ。上司に相談しなくとも、休職に入る前には、担当部署から上司へ連絡が入るだろう。したがって、上司との関係を悪くしたくないなら、予め上司には相談しておいた方が印象は良い。
たしかに、上司へ直接言うのは精神的にも負担になるだろう。ただ、間接的に知られるよりも直接伝えた方が印象は良く、休職するまでのトータルで見たら労力的なコストも少なくなるはずだ。精神的な病気が無いとわかっている状態での休職なら、組織で仕事を進めている以上、回りに理解させることから進めなければならない。
会社に休職制度がある場合は申請の条件や方法、休職期間など制度の具体的内容を確認しよう。休職期間は3ヶ月から2年程度、勤続年数や役職によって無条件に休職を認めてくれる会社もある。ただし、この期間は給料といった金銭的な補償を受けられないのが普通だ。
休職は会社に籍を置いたままできる長期休暇
「留学休職」や「起訴休職」などは多くの会社で規定されている。留学休職は会社に籍を置いたまま語学留学などを認める休職である。起訴休職は社員が刑事事件の被疑者、被告人となった場合に、その裁判が続く間認められる休職である。
休職制度を設けている場合、その会社に籍を置いたまま仕事から離れられる。無職状態を避け、いつでも稼ぎに戻れるため無計画に会社を辞める前に、利用の検討をすべき制度と言えるだろう。
会社によっては休職に寛容な所もある。そういった会社なら、休職後も原則として以前のポジションに復帰できるはずだ。
貯金が尽きるまでの間、働かずに過ごしたい人や会社で働く以外にやりたいことがあるなら、休職を最優先で検討してみよう。長期休暇を取るための選択肢としては仕事を辞めるよりも最適である。
精神的な疲れから休職を考える場合
自己都合で休職する場合、国や行政からの補償は受けられない。しかし、会社の業務または通勤が原因で病気になったり、ケガを負えば休業(補償)給付が受けられる。業務外のケガや病気で会社を休み、給料をもらえない場合には公的な補償である傷病手当金を受給できる。また、会社が別途これらに対する補償を規定している場合もある。会社の規定はそれぞれ異なるため、こちらも就業規則等で確認してほしい。
こういった事情もなく、自己都合により休職したい場合も、仕事によって精神疾患を患っていたなら休業(補償)給付による金銭的な補償を受けられる。したがって、精神的な疲れを感じたり、精神疾患が疑われる場合は、医療機関での受診から検討しよう。
うつ病などの精神疾患は医療機関の精神科や精神神経科、心療内科が主に対応してくれる。これらの診療科が無い場合、内科での受診から検討しよう。病院で精神疾患と診断された後は、近くの労基署へ電話相談や訪問し、休業(補償)給付の受け方(手続き)を進めていこう。
また、仕事によって精神疾患になれば会社側は原則解雇もできなくなる。精神的な病気では回復するまで雇用し続けなければならない。精神疾患になったならむしろ堂々と仕事を休職し、ゆっくりできるのだ。
退職よりも休職を優先すべき理由
現状、仕事へ行きたくなくなれば、多くの人が休職を考えず、退職という選択肢を取っている。しかし、退職後の予定が決まっていないなら休職に留めるべきだ。休職は会社に籍を置いたまま長期での休暇を取れるため、経歴上、空白の期間がない。今後の転職などキャリアを積む上で、無計画の退職よりも賢い選択になる。
退職は休職の制度が満足に利用できなかったり、休職を経験してから考えても遅くない。まずは休職で話を進め、それでも問題が解決しなかった場合に退職すれば良いのだ。
休職を実行もしくは検討した上でも、仕事を辞める予定の人は下記記事も参考に。

退職の道を選ぶにしても、事前に十分な用意をし、「計画的に」辞めるのが賢い選択になる。