転職先が決まる前に仕事を辞めて、無職が期間があったとしても、生活困窮者自立支援制度、生活福祉資金、失業保険などで生活費の確保はできる。事前に準備しておけば、しばらく働かない期間を作ることも可能だ。
将来のキャリアに繋がりそうな仕事なら、計画的に仕事を辞めた方が良い。しかし、同じ業界で働きたくない場合やブラック企業を辞めたい場合、くわえて、そもそも仕事をしないで生活したい場合は通常の手続きを「踏まずに」仕事を辞めても人生のマイナスにはならないだろう。現在は退職代行サービスというものも登場しており、簡単に仕事を辞めれるようになっている。
この記事では
▶ 直ちに仕事を辞めたい人
▶ 計画的に仕事を辞めたい人
がやるべきことを中心に
▶ 仕事をせずに生活する方法
まで詳しく述べていきたいと思う。
直ちに仕事を辞めたい人がやるべきこと
仕事を長期で「休みたい」だけなら休職の検討もすべきだ。休職制度を設けている会社なら、自己都合による長期休暇でも会社に籍を置いたまま休める。ただし、休職中は原則として給料をもらえない。金銭的にはある程度の余裕が必要になるだろう。休職について詳しくは下記記事を参考に。

休職後も気持ちが変わらないなら退職の手続きを進めれば良いだろう。
精神的な疲労を感じているなら、仕事を辞める前に公的制度を使える状態にしてから辞めるべきだ。仕事で精神疾患になったと考えられる場合、「在職中に」病院の精神科へ行った方が良い。
ここでは直ちに仕事を辞めたい人でも知っておくべき
1.退職手続き無しに仕事を辞める方法
2.転職先が決まる前に利用できる公的制度
3.仕事で精神疾患になった場合に使える公的制度
について詳しく紹介していく。
退職手続き無しに仕事を辞める
アルバイトであれば退職手続き無しに電話一本で辞めれる。もちろん、何も言わずにバックレても法的に責任を負うケースはほぼ無い。ただ、正社員の場合、様々な手続きが必要になる。退職の意志を伝えたり、手続き無しに会社へ出勤しなくなれば当日、遅くとも翌日には連絡が来るだろう。
退職までに正式な手続きを踏むのを面倒に感じる人は多い。正社員では特にそうだ。また、心理的なプレッシャーを感じたり、上司や会社に辞めることを伝えづらい人もいるはずだ。こうした人は退職代行サービスを利用すれば良い。
退職代行サービスではその名の通り退職を全て代行してくれる。退職代行サービスを使えば、自分が会社へ出社することなく、会社への電話も上司との相談も必要もない。料金は代行業者にもよる。弁護士が5万円程度で退職手続きを代行してくれるところもある。詳しくは下記記事を参考に。

退職代行サービスを頼んだ場合でも、家へと同僚もしくは上司が訪問に来るかもしれない。こうした電話や訪問の対応が精神的にストレスなら、旅行や実家に帰る、知り合いの家にしばらく置いてもらうなどして家を出た方が良い。退職手続きが終わるまで、旅行へ行くのも誰かに頼ることもできないなら、2、3週間引きこもっても良いだろう。家へ誰かが来ても居留守を使い、外界から隔離した世界で気持ちを整えれば良い。
もちろん、食料の確保は必要になるので、予め貯め込むかネットで注文する必要は出てくる。引きこもりながら食料を確保する方法については下記記事を参考に。

人によっては退職代行サービスや退職手続き無しに仕事を辞めても良いかと思う。ただ、通常の手続きに沿わずに辞めるなら、その会社の従業員および業界関係者との縁が切れることも頭へと入れておかなければならない。もちろん、働いている会社がブラック企業だったり、同じ業界での転職を考えて「いない」人ならこうした心配は無い。
余裕があるなら、その会社で通常の手続きに沿って退職すべきである。その方がトラブルも少なく、仕事を辞めた後、公的制度を利用する際の手続きもスムーズに進められる。
仕事を辞めた後、転職先が決まる前に利用できる公的制度
仕事辞めたらやるべきこと
1, 福祉課に行って家賃補助制度の申請をする
2, ハロワに行って失業給付金の申請
3, 半年間コースの職業訓練校を受験
これで半年間働かなくても誰でも生きられます。
1,2は順番を間違えると失業給付金しか貰えません。学校では教えてくれないけどニートの常識だよ
— コウシリンはプロニート! (@kohika_cRin) November 2, 2018
上記「家賃補助制度」の正式名称は「住居確保給付金」である。
転職先が見つかる前に辞めた場合でも、公的機関の制度を利用すれば、しばらくの間は金銭的な援助を受けられる。つまり、貯金がなくてもしばらく働かない生活が可能になる。
こうした公的機関の制度としては
1.生活困窮者自立支援制度、生活福祉資金
2.失業保険
などがある。加えて、
3.仕事で精神疾患になった場合
は失業保険の給付が受けれる日数が増え、自立支援制度も利用できる。この制度はあまり知られておらず利用者も少ない。市区町村役所では職員誰しもが丁寧に教えてくれるわけではない。知っていないと損なので、自分はもちろん、身内、知り合いのために、一通り頭へ入れておいた方が良いだろう。また、上記ツイートにもあるように、失業給付金を申請してからだと住居確保給付金はもらえない。順番は間違えないようにしよう。
下記でそれぞれ詳しく紹介していく。
生活困窮者自立支援制度、生活福祉資金
金銭的に余裕がない状態で仕事を辞めた人はまず区市町村役所へ行って、
・住居確保給付金の申請
をしよう。
住居確保給付金は生活困窮者自立支援制度の1つである。
離職などにより住居を失った方、または失うおそれの高い方には、就職に向けた活動をするなどを条件に、一定期間、家賃相当額を支給。
求職中などの要件に当てはまれば3ヶ月毎の最大9ヶ月間、家賃相当額の金銭的な援助を行政から受けれる。
「住居確保給付金」ですね。要件に当てはまれば、3か月(延長あり)支給されます。また、今現在住む場所がない方や生活費自体に困っている場合には、「社会福祉資金」といって、社会福祉協議会が貸付する制度もあるので社協に相談を。これらの制度、ケースワーカーも知らなかったりするのが問題ですね
— レモミル (@Lemon_and_Milk) November 2, 2018
この制度は正規雇用(正社員)非正規雇用(フリーターなど)に関係なく誰でも適用を受けれる。求職中の人で家賃の支払いが厳しい人、家を追い出された人、またはネットカフェ等の不安定な住居形態にある人は一度相談へ行ってみるべきだ。
ただし、ハローワークに求職の申し込みをしているなど、支給条件もある。詳しくは下記記事も参考に。

生活困窮者自立支援制度には住居確保給付金の他、住居のない人に衣食住を提供する制度(一時生活支援事業)もある。生活困窮者自立支援制度の相談窓口については下記ページを参考に。
また、行政では低所得者に向けた生活福祉資金と呼ばれる貸付制度もある。
就職に必要な知識・技術等の習得や高校、大学等への就学、介護サービスを受けるための費用等の貸付けを行います。
お金に困っている人は消費者金融などで借金をする前に、社会福祉協議会へ行って相談してみよう。
失業保険
正規雇用者はもちろん、非正規雇用者でも週の労働時間が20時間を超える場合、失業保険への加入が義務化されている。給与から雇用保険という名目で支払われているなら、再就職したいという積極的な意思を条件として給付を受けられる。
失業保険の給付を受けるため、会社を辞める前にはいくつかの確認をしておこう。
できれば在職中に「雇用保険被保険者証」の有無を確認してください。また、会社がハローワークに提出する「離職証明書」については、離職前に本人が記名押印又は自筆による署名をすることになっていますので、離職理由等の記載内容についても確認してください。離職後、「雇用保険被保険者離職票(-1、2)」が届きます(受取りに行く場合もあります)。
なお、会社から離職票が交付されない場合や、事業主が行方不明の場合等については、住居地を管轄するハローワークにお問い合わせください。
転職先が決まる前に仕事を辞めた人は給付を受けた方が良いだろう。貯金がなくてもしばらく働かない生活が可能になるからだ。失業保険の金額と給付日数は退職時の状況によって異なる。
・失業保険の受取金額:「退職前の6ヶ月間にもらった給料」と「退職時の年齢」から計算される。基本手当日額は1日あたり1976円から8205円。
・失業保険の給付日数:「退職理由」や「退職時の年齢」、「勤続年数」によって異なる。
自己都合で退職した場合は年齢に関係なく、1年以上の勤務が条件になり、給付日数は90日から150日になっている。会社都合で退職した場合は「退職時の年齢」「勤続年数」によって、給付日数は90日から330日まで違いが出る。
また、在職中に精神疾患などになった場合は150日間もしくは300日間給付を受けれる。したがって、仕事で精神疾患になったことが疑われる場合、「在職中に」病院の精神科へ行くべきだ。
仕事で精神疾患になった場合に使える公的制度
精神疾患と診断されたら、診断書を出してもらえる。市区町村の障害福祉担当窓口へ、この診断書を持ち、くわえて
1.申請書(市区町村にある)
2.顔写真(縦4cm×横3cmの場合が多い)
3.マイナンバーがわかるもの
などを提出すると、障害者手帳を発行してもらえる。
在職中に障害者手帳を取得、手帳と一緒に失業保険の申請をすれば通常よりも多い150日間もしくは300日間の給付を受けれる。
とりあえず「うつで辞めるならまず在職中に3級でいいから障害者手帳取得だ!はいコレ一番に覚える!」と言う。うつ関係の医療費が1割になる自立支援制度が利用でき、手帳と一緒に失業手当を申請すれば待機期間なしで300日支給(再就職手当も300日分出る)税金控除もされる。不要になれば返上もできる。
— カラスマ%ナチュラル・ボーン・うっかり (@KARASUMA13) November 7, 2018
この失業手当300日給付に傷病手当(最大1年6ヶ月支給)を合わせると、退職しても約2年半の生活費が確保できる。私はこれでお金の心配をせずに2年療養できたし、この合法的な合わせ技は、知らない人がいまだにびっくりするほど多いようなので、定期的に思い出したように呟く。 https://t.co/XnXu6HfKuE
— カラスマ%ナチュラル・ボーン・うっかり (@KARASUMA13) November 7, 2018
障害が理由で退職した場合、失業保険の給付が受けれる日数は
失業保険に1年未満の加入:65歳未満150日
失業保険に1年以上の加入:45歳未満300日、45歳以上65歳未満360日
となる。
また、医療費の負担が軽減される自立支援制度の利用ができる。医療費の負担が1ヶ月2500円からと、負担の上限額が所得によって決まっている。
精神疾患になってしまったら、こうした公的機関の制度を利用して働かずにゆっくり療養することを考えるべきだ。
計画的に仕事を辞めたい人がやるべきこと
専門的なスキルやキャリアを進んでいく上では、その会社との関わりが避けられない場合もある。また、外資系、海外の会社への転職では前職の上司から推薦状を求められることもある。したがって、広い意味で余裕があるなら、通常の手続きに沿って計画的に仕事を辞めるべきだ。
計画的に仕事を辞める場合でも、働かない無職の期間を作る予定なら、上で紹介した公的制度の利用手続きは進めておこう。
転職先が決まってから仕事を辞める
会社での人間関係や仕事内容、給料が理由で仕事を辞めたいと思っている人は多い。勤めている会社に何かしらの不満があるなら、早いうちから転職エージェントには登録しておくべきだ。
たしかに、仕事をしながらの転職活動は拘束時間の多い職では難しい。また、後ろめたい気持ちになることもあるかもしれない。しかし、自分の働く環境は良い方向へと変えたければ、本業と並行しての転職活動は必須になる。
良い職場に出会えるかどうかもタイミング次第ではある。それでも、早めに転職活動を始めて長い間転職市場で活動していれば、良い求人に触れる機会は増える。転職先が決まってから退職届を出せば、金銭的な不安も少なくなるだろう。
別途収入源を確保してから仕事を辞める
最近は企業でも副業解禁の動きが出てきており、在職中に副業を始める人は多い。こうした副業である程度の収入が得られるようになってから仕事を辞めるなら、本業を手放してもしばらく生活はできるだろう。

事業収入だけでは生活が難しい月が発生しても、日雇いやバイトなどで乗り切れるはずだ。

フルタイムでの仕事ではなく、最低限の労働で暮らす生活も実現しやすくなるだろう。
仕事をせずに生きていく
働かない期間を作りたくない、または金銭的に余裕のない人は転職が決まった状態、もしくは公的な支援をしばらく受けれる状態で退職すべきだ。仕事をしなくても、公的な支援を受けなくとも生活ができる状態なら、しばらくは何をしなくても良いだろう。
仕事をしなくても、公的な支援を受けなくとも生活ができる状態とは
1.十分な資産もしくは収入源を確保している
2.身内などから援助してもらえる
3.自給自足の生活ができる
4.好きなことで生活できる
以上のような状態を言う。
下記でそれぞれ詳しく説明していきたいと思う。
十分な資産や収入源を確保する
十分な貯金のある人はしばらく働かずに生活できるだろう。
また、仕事を辞めても別の収入があり、生活収支をプラスにできる人も同様である。不動産や事業を所有していたり、数億円以上の投資をしているなら、これらによる収入だけでも十分暮らしていけるだろう。
身内などから援助してもらえる環境を作る
両親やパートナーがいて、彼らからの援助が期待できる人もしばらく働かずに生きていけるだろう。
身内でなくとも、男性ならいわゆる「ヒモ」の状態、女性なら「パパ」からの援助で生活できる人はいつの時代にも存在している。
自給自足の生活ができる
自給自足での生活ができれば、働かなくても生きていける。ただ、現代人が自給自足の生活を続けるのはかなり難しい。電気や水道、通信、ガスといった便利なサービスに慣れてしまっているからだ。電気が無いだけでもかなりのストレスになるだろう。現代人は天気や気温の変化に順応するのも難しい。
また、金銭を払わなければこれらのサービスを受けれない上、今楽しんでいるエンターテイメントのいくつかも手放さなければならなくなるだろう。
多くの人は多少働いて最低限のサービスを受けた方が快適な生活を送れる。自給自足生活の方が肉体的にも、精神的にも厳しいと感じるはずだ。
自給自足へ挑戦したいと思うなら、数ヶ月のプチ自給自足生活から始めてみよう。本格的な自給自足生活へ入る前に、お試し期間を設けた方が良いだろう。
好きなことで生活できる
世の中には仕事という意識が無く、好きなことをしてお金を稼いでる人もいる。特に、アートやエンターテイメントの分野には多い。
ただ、こうした好きなことで稼ぎたい場合、多くのケースで才能や時間が必要になる。芸人にしても、十分に稼げないうちは並行して他の仕事もしているのが普通だ。また、好きなこと「だけ」で稼ぐのはほぼ不可能である。何割かは好きなこと以外の時間にリソースを注ぐことも求められる。歌手は歌を歌うだけで十分なお金をもらえるわけでもなく、芸人も漫才以外の仕事は多い。くわえて、好きなことで十分な額を稼げるようになってからも、急な出費が生じることは度々ある。一発屋芸人という言葉があるように、一時的には実現できても、長期で継続するのは難しいだろう。
働かない生活を実現するまでに道筋について、更に詳しく知りたい人は下記記事を参考に。
